謹啓
 皆さまにおかれましては、時下ますます御清祥の段、お慶び申し上げます。さて、このたび第22回日本栓子検出と治療学会(通称エンボラス学会)学会が、2019年10月18日(金)・19日(土)に、岩手県盛岡市で開催される運びとなりました。
 日本栓子検出と治療学会(エンボラス学会)は、脳血管内を流れる微小栓子(エンボラス, embolus)を検出できる経頭蓋超音波ドップラー検査(TCD)の普及と改良・関連する機器開発の研究を目的に1998年(平成10年)12月に発足しました。その後、学会名にあるエンボラス(血栓塞栓子)の検出のみならず、血栓塞栓症に関連する領域に研究対象を拡大して、物理、工学から医学の研究者・臨床家、パラメディカルスタッフが連携する会となっています。
 今回の学会テーマは「さまざまな視点からエンボラス(塞栓、栓子)と血栓塞栓症を捉える~震災復興の地から~」です。2011年3月11日に東日本大震災が発災してから7年が経ち、被災地にも復興が目に見える形になってきています。このような災害に関連した静脈血栓症(VTE)の発症頻度や血栓症の発症リスクについては、未だ不明な点も多く、被災地検診の視点からのセッションも予定しています。
 心源性脳塞栓症の予防については、心房細動のアブレーションの進歩、新規抗凝固薬の知見(中和薬の活用)、卵円孔開存の閉鎖デバイス進歩などを取りあげたいと思います。さらにTCDを含むデバイスによる栓子・塞栓源検索、塞栓源の不明な塞栓症、脳塞栓症急性期における脳血管内治療などについても、様々な視点から意見を交わす場となるように準備を進めています。皆様のご施設での貴重な症例や研究成果のご発表をお願いしたいと存じます。
 学会会員のみならず、ご関心を有する医療関係者や市民、企業の皆様を含めて、最新の知見を共有し、明日の医療活動に役立つ会になることを念じております。特別講演、シンポジウム・ランチョンセミナー・下肢の静脈エコーなどのハンズオンセミナー・市民公開講座などを予定しております。
 盛岡市を含む北東北では10月中旬なると、朝晩の冷え込み、紅葉のシーズンが始まり、学会後は周辺での行楽のちょうどよい季節です。ぜひ、皆様のご参加をお待ちしております。
謹白
 2018年12月吉日
第22回日本栓子検出と治療学会
会長 佐々木 一裕
(盛岡市立病院 診療部長兼神経内科長)